グルメ

神楽坂の焼肉「多文」──焼肉を試す

神楽坂で焼肉と聞いて、まず頭に浮かぶのはこの店だ。財布を気にせず食えば一人8,000円は彼方へ消えてしまう。決して安い店ではない。それでも焼肉を食おうとなったときにこの店は候補から外せないのだ。

店はいずこ

神楽坂駅から歩いて数分のはずが、通りから見る限りは完全な一軒家で、看板も控えめだ。

店へ続く路地

頼みの綱は路地奥の行灯ひとつ。これを見逃すと、気づかず通り過ぎて終わる。観光気分の一見客がふらりと入る店ではない、というのがよくわかる立地である。

二階は急な階段、油ギッシュ

客席は二階。急な階段を上がると、そこは正真正銘の街場の焼肉屋で、造作にも掃除にも高級感を求めるのは野暮というものだ。快適さは端から期待しないほうがいい。

肝心の肉は、文句なしに仕事をしている

まずは厚切りの上タン塩から。薄切り一辺倒のチェーン系焼肉とは厚みからして別物で、噛むほどにじんわりと脂の甘みが出てくる。この脂が口に染みわたるときに言葉はもはや不要だ。

【写真:DSCF0984.JPG / 厚切りの上タン塩】

続けてハラミ、上ミノ、上レバーと内臓系を注文。どれも臭みがほとんどなく、この手の部位が苦手な連れでも問題なく箸が進んでいた。

かつては生レバーもあって至極の逸品だったが、今は昔。
涙をのんでよく焼く。美味い

レバーはよく焼き大事!

盛り付けにも一手間かけてあり、特にタン塩は美しく、気合が伝わってくる一皿だ。

野暮かもしれないがこれは撮りたくもなる一皿

多文にきて上タン塩を頼まない選択肢はない

お肉の花が咲いてるみたい!

最大の欠点:煙

ただし、正直に書く。この店の弱点はただ一つ、煙である。建物の構造上、卓ごとの排煙設備が弱く、脂の多い部位を焼くと途端に客席全体が煙に包まれる。混雑時は目に染みるほどで、服にも髪にもにおいが移る。これは覚悟して行かねばならない。

締めの冷麺で、ととのう

【写真:DSCF1023.JPG / 締めの冷麺】

さんざん肉を焼いたあとでも、さっぱりした出汁の冷麺は満腹の胃にすんなり収まる。夏場などはこの冷麺だけを目当てに来てもいいくらいだ。ここまで食べて約8,000円という数字を見直すと、決して高くはない。むしろ肉質だけを見れば安いくらいだ。

よく食べるね~

ついつい頼みすぎちゃうんだよな…

結論:煙を許して肉を食う

郊外の焼肉チェーンで腹一杯やるなら三千円で済む。だがネタの質、内臓の処理、締めの冷麺まで含めた総合力で言えば、この店は別枠にある。目に染みた煙も服に染み付いたにおいも、笑って許して、また来よう。

店舗基本情報

項目内容
店名多文
ジャンル焼肉
所在地東京都新宿区神楽坂6-65-2
アクセス東京メトロ東西線 神楽坂駅より徒歩3分/都営大江戸線 牛込神楽坂駅より徒歩5分
営業時間火〜金 17:00〜22:00/土・日・祝 11:30〜22:00
定休日月曜
席数24席(2階席)
予算夜6,000〜7,999円・昼2,000〜2,999円(訪問時は一人8,000円)
電話03-6457-5729
支払いクレジットカード可(電子マネー不可)
駐車場なし
訪問日時5/20 ディナー(18:30〜20:30)

※情報は食べログ参照(2026年6月時点)。

総合評価

★★★★★★★☆(9/10)

肉質と内臓の処理は文句なし。煙という構造的な弱点はあるが、それを差し引いても神楽坂で8,000円出す価値がある一軒だ。この店に通うことはやめられない。

  • この記事を書いた人
KAME

KAME

省エネ志向のカメ。見た目そのまま緩慢ないきもの。普段からマイペースだが、食にはうるさい。LEGOやゲームもたしなむがやっぱり動作はのんびり。たまに腕時計も巻いている。

-グルメ