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オリエントスター「レイヤードスケルトン RK-AV0B08L」編──KAMEの気になる時計たち

スケルトンの時計というのは、たいてい主張が強い。中身を見せる以上そうなるのは分かるのだが、その主張が自分に合うか合わないかは実際に見てみないとわからない。

オリエントスター コンテンポラリー レイヤードスケルトン RK-AV0B08L。定価106,700円(税込)で、実売は7万円あたりまで落ちている。中身はキャリバーF6F44の自動巻(手巻付)、パワーリザーブ50時間以上、ケースは41.0mm・厚さ13.6mm、10気圧防水にサファイア風防。

これをビックカメラ新宿東口店で手に取ってきた。主張への違和感は、思ったより無かった。

この記事について:筆者はこの時計を所有していません。2026年7月にビックカメラ新宿東口店で実機を手に取った印象と、メーカー公表値・販売ページの情報をもとに書いています。長期の装着感や精度の実測は含みません。

レイヤードスケルトンという中間解

オリエントスターのコンテンポラリーコレクションに属する一本で、発売は2023年3月。全面をスケルトンにするのではなく、文字盤を層状に重ねて一部だけ中身を覗かせるというのがレイヤードスケルトンの構造だ。

盤面の色はライトブルー。公式の仕様欄には、ヘリンボーン柄とペイズリー柄という2種類の模様が並んでいる。この2つを層で重ねてある、というのがこの時計の顔のすべてと言っていい。

で、実物はどう見えたのか

ビックカメラ新宿東口店、時計売り場の照明は明るすぎるくらいで、盤面の柄を見るには悪くない条件だ。

まずレイヤード構造そのものだが、違和感がない。層になっている盤面というと、境目が唐突に切り替わって視線が引っかかるものを想像していたのだが、これは重なりが自然で、見ていて疲れない。中身を覗かせる面積が抑えてあるぶん、スケルトンにありがちな「見せたがり」の感じが出ていない。主張しすぎず、しっくり来る。 これは素直に良かった。

問題は柄のほうだ。

ヘリンボーンとペイズリー。ジャケットの表地と裏地を並べたような取り合わせで、正直に書けば、ここは好き嫌いがはっきり分かれると思う。時計の文字盤に織物の柄を持ち込んで、しかも2種類を重ねる。理屈で考えれば、盤面がうるさくなってもおかしくない。

ところが実機を見ると、柄が主役を張ろうとしていない。針とインデックスの読み取りを邪魔していないのだ。柄は光の角度で浮いたり沈んだりして、正面から見たときは、ほとんど無地の顔をしている。凝っているのに騒がしくない。私は面白いと思ったし、好きだ。ただし「文字盤に柄が要るか?」と思う人が一定数いるのも分かる。ここは万人向けの盤面ではない。

一方、期待して裏返したシースルーバックは、悪く言えば普通だった。ムーブメントが動いているのは見えるし、機械式らしい眺めではあるのだが、あとから思い出せるほどの印象は残らなかった。ここに見どころを求めて買う一本ではない。

そしてもうひとつ。デフォルトのメタルバンドが、この盤面に対して律儀すぎる。 ステンレスのブレスレットは作りとして不足はないのだが、ライトブルーに織物の柄という遊びのある顔に対して、手首側が急に真面目になる。革やナイロンに替えて遊んだほうが、この時計は活きるのではないか。

盤面以外は、どこも突飛ではない。41.0mmの丸いケース、素直なラグ、シルバーのブレス。文字盤を差し替えたら、カジュアルにもフォーマルにも化ける素性をしている。

数字の話をしておく

項目内容
商品名オリエントスター コンテンポラリーコレクション レイヤードスケルトン
型番RK-AV0B08L
メーカー/シリーズオリエント時計(エプソン)/Orient Star コンテンポラリー
ムーブメントキャリバーF6F44/機械式 自動巻(手巻付)
パワーリザーブ50時間以上
精度(公表値)日差 +25秒〜-15秒(静的精度)
防水性能日常生活用強化防水(10気圧)
風防表:両球面サファイアクリスタル(ARコーティング)/裏:無機ガラス
ケース素材ステンレススチール
ケースサイズ直径41.0mm/厚さ13.6mm
重量151g
バンドステンレススチール(SUS316L)/シルバー
文字盤ライトブルー/ヘリンボーン柄・ペイズリー柄・レイヤード構造
裏蓋シースルーバック
希望小売価格(税込)106,700円
実売参考価格70,000円(2026年7月28日時点・価格.com最安)※変動あり・要確認
発売日2023年3月
公式サイトhttps://orientstar-watch.com/collections/all/products/rk-av0b08l

この表の読みどころを3つ。

  • キャリバーF6F44とパワーリザーブ50時間以上:金曜の夜に外して月曜の朝に着けても、まだ動いている計算になる。週末に着けない人間にとって、この2日分の余裕は地味にありがたい
  • 両球面サファイア+ARコーティング:内外どちらも湾曲したサファイアに反射防止をかけてある。屋外や照明の下でも盤面が白く飛びにくく、柄を見せるのが身上のこの時計では、実質的に文字盤の一部と言っていい装備
  • 厚さ13.6mm・重量151g:数字としては薄くも軽くもない。151gの大半はステンレス無垢のブレスレットの金属量で、ケース単体で重いわけではない。ただ13.6mmという厚さはシャツの袖口に引っかかる部類なので、ここは好みが出る

値段の話をしよう

定価106,700円(税込)に対して、実売は85,000円あたり(2026年7月下旬時点)。差額はおよそ2万円で、率にすれば2割以上落ちている。

「10万を切るなら値ごろな感じじゃないか」と言われそうだが、そう単純でもない。シチズンやオリエントの他のラインも、この価格帯の自動巻時計は家電量販店であればだいたい2~3割引きの設定になっているからだ(セイコーの10万超え時計はは最近値下げをしなくなったが)。

では何に8万円を払うのか。答えははっきりしていて、あのライトブルーの層と織物の柄、ここ一点である。 逆に言えば、柄が好みでないなら、この時計を選ぶ理由はほぼ残らない。裏の眺めは普通で、ケースもブレスも標準的な出来だ。盤面が全部を背負っている。

そこへバンド交換の費用が乗る。革でもナイロンでも数千円から一万円といったところだが、私はデフォルトのブレスでは着けない前提で考えているので、実質は9万円ちょっとの買い物になる。ついでに言えば、外したブレスは引き出しの肥やしになる。

同じころに見たZEROOのC5(定価118,800円)が「盤面を眺めるために買う時計」だったのに対し、こちらは「盤面を着替えて遊ぶ時計」だと思う。同じ10万円前後でも、金の使い道の性格がまるで違う。

買うのか、買わないのか

購入検討度:★★★★★☆☆(7/10)

盤面は面白い。それは間違いない。にもかかわらず★7に留まるのは、盤面以外に手が伸びる理由が見当たらないからだ。ケースもブレスも裏蓋も、良くも悪くも標準的で、この一本でなければならない部分が文字盤に集中しすぎている。

そして柄の好き嫌いは、私の中でもまだ完全には決着していない。今日は面白いと思ったが、3年後の自分が同じ顔を毎朝見て飽きていない保証がない。

買う条件は3つ。

  1. 実売8万円台を切るタイミング(お得と思えるタイミング)
  2. フェイスの柄に納得すること
  3. 合わせたい替えバンドが具体的に決まっていること(ブレスのまま使う気がないので、ここが決まらないと買っても寝かせてしまう)

結局のところ

スケルトンが苦手だった人間の警戒を解いた、という一点で、この時計はよくできている。中身を全部見せずに一部だけ覗かせるという匙加減が正しい。

ただし買うかと言われると、いま手が止まっている。盤面は好きだ。時計として好きかは、まだ決めきれていない。 その差が★3の1.5個ぶんにあたる。

次に行ったら、今度は替えバンドの棚を先に見てから、もう一度この一本の前に立つつもりだ。


参考

  • オリエントスター公式:https://orientstar-watch.com/collections/all/products/rk-av0b08l
  • ビックカメラ商品ページ:https://www.biccamera.com/bc/item/10973602/
  • この記事を書いた人
KAME

KAME

省エネ志向のカメ。見た目そのまま緩慢ないきもの。普段からマイペースだが、食にはうるさい。LEGOやゲームもたしなむがやっぱり動作はのんびり。たまに腕時計も巻いている。

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