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シチズン「アテッサ BY1001-66E」──KAMEの気になる時計たち

ここ数年、時計沼に引き込まれてから電波時計とはとんと縁遠くなってしまっている。電波時計が嫌いというわけではないのだが、機械式に心奪われてしまっているのだ。

そこに久方ぶりに心惹かれる電波時計が登場した。シチズン アテッサ BY1001-66Eである。ムーンフェイズに目がない私にとって世界初という「ルナプログラム」機能に大いに興味をひかれたのである。

それをわが目で見るべく、ビックカメラ新宿東口店に赴いた話をする。

この記事について:筆者はこの時計を所有していません。ビックカメラ新宿東口店で実機を手に取った印象と、メーカー公表値・販売ページの情報をもとに書いています。長期の装着感や充電・受信の実測は含みません。

ルナプログラムという理屈

シチズンの公式サイトによれば、この時計に載っている「ルナプログラム」は月齢を自動で計算してムーンフェイズを表示する機能で、アナログ式の光発電腕時計としては世界初とされている(同社公式サイトの表記/2023年8月現在)。

機械式のムーンフェイズは、歯車の割り切れなさのぶんだけ少しずつ月とズレていく。だから定期的に持ち主が直してやる必要がある。あれを「趣味」と呼んで愛でるのが従来の作法だったわけだ。

この時計はそこを電波受信と自動計算で片づけている。ほかにワールドタイム、ダイレクトフライト、パーペチュアルカレンダー。要するに、時刻も日付も月齢も、持ち主が手を出す場面がない。

で、実物はどう見えたのか

まず全体の顔つきだが、驚くほど普通である。 褒めている。深い黒の文字盤に、スーパーチタニウムのケースとバンド。機能を数え上げると相当な多機能機なのに、盤面は騒いでいない。どこに着けていっても浮かない、フォーマル寄りの端正な顔をしている。

そのうえで、大きすぎない。横41.5mm、厚さ10.8mm。この機能量を積んで10.8mmに収めているのは素直に立派で、実物を前にしても「厚い」という印象が来ない。腕から張り出す感じがなく、袖の下に収まる寸法だ。

そして本題のムーンフェイズである。

月が、作り込まれている。 小さな窓の中の話なのに、表面の陰影まで作ってあって、じっと見ていられる。時計売り場の照明の下で、私は明らかに不審な時間そこに立っていた。実用ではない機能に、いちばん時間を使うことになる。これがムーンフェイズというものの正体だと思う。

ただし注意がひとつある。この時計は月齢を正しく表示するので、新月の日に見に行くと、窓の中には何も出ていない。 「せっかく見に来たのに月が無い」という、笑うしかない事故が起こりうる。店頭で月を拝みたいなら、日を選んだほうがいい。

盤面の情報量は決して少なくない。それでもうるさく見えないのは、月の窓とインダイヤルの配置に余白が取ってあるからだ。多機能機にありがちな「盤面が団地の掲示板になる」現象が起きていない。

数字の話をしておく

項目内容
商品名シチズン アテッサ エコ・ドライブ電波時計 ダイレクトフライト ムーンフェイズ
型番BY1001-66E
メーカー/シリーズシチズン時計/ATTESA
ムーブメントキャリバーH874/光発電エコ・ドライブ(電波受信対応)
電波受信日本・中国・欧州・米国の各局に対応
主な機能ムーンフェイズ+月齢自動計算「ルナプログラム」/ワールドタイム/ダイレクトフライト/パーペチュアルカレンダー
防水性能10気圧防水
風防サファイアガラス(無反射コーティング)
ケース素材スーパーチタニウム
ケースサイズ横41.5mm/厚さ10.8mm
重量89g
バンドスーパーチタニウム(三ツ折れプッシュタイプ中留)
文字盤ブラック
希望小売価格(税込)148,500円
実売参考価格92,998円(2026年7月28日時点・価格.com最安)※変動あり・要確認
発売日公式サイトに記載なし・要確認
公式サイトhttps://citizen.jp/shop/attesa/g/gBY1001-66E/

この表の読みどころを3つ。

  • スーパーチタニウム+89g:チタンの軽さに表面硬化処理を組み合わせた素材で、同サイズのステンレス製に比べればかなり軽い。しかも表面が硬いぶん、机の角にぶつけたときの傷が浅く済む。10万円クラスのステンレス製と並べたとき、数年後の見た目に差が出る部分だ
  • 10気圧防水+サファイア(無反射):手を洗うたび、雨が降るたびに気を遣わずに済む水準で、風防は傷に強いサファイア。しかも無反射コーティングで、照明の下でも盤面が白く飛びにくい。月の造形を見せる時計としては、この無反射が事実上の必須装備になっている
  • 光発電+電波受信:電池交換に持ち込む必要がなく、時刻合わせも日付合わせも要らない。ムーンフェイズまで自動で追随する。手のかからなさで言えば、この価格帯では相当上のほうにいる

値段の話をしよう

定価148,500円(税込)に対して、実売は10万円程度(2026年7月28日時点)。5万円ほど下がっている。

スーパーチタニウム、サファイア無反射、10気圧防水、電波受信、パーペチュアルカレンダー、そして月齢自動計算のムーンフェイズ。これだけの機能を備えて10万円台という数字はやはり安い。 オリエントスターのレイヤードスケルトン(実売8万円台)と2万円程度しか違わないのに、装備の量がまるで違う。

もっとも、装備の量で時計を選ぶなら苦労はない。あちらには柄で殴ってくる文字盤があり、こちらには無い。この2万円の差をどう見るかは、時計に何を求めるかの話であって、スペック表の勝ち負けではない。

それとは別に、この一本には使い道がひとつある。贈答である。 フォーマルで用途を選ばず、大きすぎず、機能は多いのに主張が控えめ。相手の好みを外しにくく、値札の説明もつく。入社祝いや入学祝いを探しているなら、候補として相当に強い。

自分で買う理由より先に、人に贈る理由を思いついてしまった。四十を過ぎると、物欲より先に義理の予定が浮かぶようになる。 何とも締まらない話だ。

買うのか、買わないのか

購入検討度:★★★★★☆☆(7/10)

上げ要素は、月の窓と、手のかからなさと、10万円台という実売。この3つは揃うと強い。

下げ要素は、顔つきが端正すぎることにある。褒め言葉として書いた「驚くほど普通」が、そのまま減点にもなる。フォーマル寄りの黒文字盤は隙がないぶん、自分の手持ちに対して新しい役を持ってこない。すでに黒文字盤の一本を持っている人間が、もう一本増やす理由になるかというと、そこが弱い。

言い換えれば、これは「一本目に選ぶと極めて正しい時計」であって、私の物欲の順番では上に来にくい。

買う条件は3つ。

  1. 10万円台を切るタイミング
  2. 機械式時計にはない機能に心奪われたとき
  3. 黒文字盤以外の選択肢を一通り見たうえで、それでも月の窓が忘れられないこと

結局のところ

機械式時計に心奪われたままということは変わっていないが、電波時計に再び目を向かせたのは「電波で動く月面」である。あの月面をのぞき込んでいた数分は、確かに楽しかった。

そのうえでこの一本は、飾りだけの時計ではない。チタンで軽く、サファイアで傷に強く、電波で狂わない。実用の土台がしっかりあって、その上に月が載っている。 10万円台でこの構成なら、勧められて文句の出る買い物ではないと思う。

私が買うかどうかは、まだ決まっていない。ただ、人に贈る候補としては、もう頭のリストに入れてある。

次に行くときは、新月を避けて日を選ぶ。


参考

  • シチズン公式:https://citizen.jp/shop/attesa/g/gBY1001-66E/
  • ビックカメラ商品ページ:https://www.biccamera.com/bc/item/11601323/
  • この記事を書いた人
KAME

KAME

省エネ志向のカメ。見た目そのまま緩慢ないきもの。普段からマイペースだが、食にはうるさい。LEGOやゲームもたしなむがやっぱり動作はのんびり。たまに腕時計も巻いている。

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