
鹿児島での観光で枕崎へ行ってみたいと思い、せっかくなので今回は風光明媚なローカル線で有名な指宿枕崎線を利用して行ってみました。
指宿枕崎線 鹿児島中央→山川
鹿児島市内から指宿へ南下して薩摩半島を廻りこんで枕崎へ至る指宿枕崎線ですが、鹿児島中央から指宿間は地元の足と観光、指宿から枕崎まではのんびりローカルと異なるカラーを併せ持つ路線で、乗るだけでも楽しい路線です。有難いことに鹿児島中央から枕崎まで直通する普通列車があるので、今回は2026年6月の平日、月曜日に乗車してきました。

乗車したのは鹿児島中央駅10時2分発の普通枕崎行き。6分前に特急列車である「指宿のたまて箱」がありますが、こちらは指宿行き。指宿のたまて箱に乗って指宿で途中下車なんてこともできるな、とも思ったのですが、鹿児島中央から枕崎の切符だと100kmに満たないため、途中下車ができないので注意です。ちなみにsugoka/suica等の交通系ICカードだと途中の喜入までで、指宿すら行けないらしいので注意(2026年6月時点)。枕崎行きは2番乗り場ということで、早速ホームへ向かいます。

ホームに降りると、向かい側の乗り場に件の列車が。「指宿のたまて箱」の車両は、こちら側は白い塗装ですが、反対側は黒い塗装という変わった装いで有名ですね。内装も木を多用し大層豪華とか。一度乗ってみたいものです。ちなみに列車の乗降時にドアが開くと、浦島太郎の「たまて箱」の煙に見立てたミストが、ドアの上部から噴霧されるという演出があったと聞くのですが、この時は出ていなかったようです。雨降ってたからかな。
しばらくするとベル音とともに、乗車予定の普通列車が入ってきました。

白地にブルーの帯は、たぶんJR九州の旧型気動車では標準的な塗装なんじゃないでしょうか。全国各地のローカル線を中心に見られたこの系列も、いよいよ減ってきましたよね。
ちなみに指宿枕崎線では、黄色い塗装で乗り心地も良いキハ200形というのも走っていて、こちらのほうが乗る分には快適だと思います(意味深)。黄色いキハ200形はたぶん山川までしか運用が無く、枕崎行きは全て旧型気動車だと思います。運行本数も途中の喜入・指宿・山川までは結構多いのですが、山川から先の枕崎行きについては1日に6本、うち3本が鹿児島中央から直通となっていて、今回はその3本のうちの1本を利用、という形です。

行先表示、いわゆるサボがこんなところに。窓を一か所はめごろして、室内側に設置しています。盗まれたりするんだろうなぁ。

発車時刻が近づくにつれて乗客がどんどん増え、満員とは言わないまでも結構な混雑に。若い方が多いけど、皆さん学生さんかな?1時間に1~2本の路線とはいえ、区間によってはしっかり混むんですよね。
他にも地元の利用者の方も多く、また私と同じように観光で「枕崎着いたらやっぱりまずカツオを~!」と大盛り上がりの旅行者さんたちも隣のボックスシートにいたりして、2両編成の車内は混みあいます。
ここで発車。

あ、少し進んだら反対側にキハ200形がいました。鮮やかな黄色で、見た目も最新式とは言わないまでも綺麗な感じですね。
対してこちらは国鉄時代の車両ですので、少し走り出した時点でも既に床下からゴリゴリキーキーとノイズが。
ご存じの方も多いでしょうが、指宿枕崎線は凄く揺れる路線として界隈では有名です。中でも現在乗車中のキハ40形は、台車がコストダウンされた国鉄仕様のため、振動がよりダイレクトに伝わってきやすいというシナジー効果もあり、それはそれは凄いことになるという話しなのです。どれくらい酷い揺れかというと、あまりの酷さに2015年国会でJR九州完全民営化法案についての質問中に例示されたほどです。「指宿枕崎線 揺れ」などで検索すると沢山情報も出てきまして、実際私も数年前に体験しておりました。

走り出してしばらくすると、あれ?あの激しいパッションを伴う揺れが無い…?
いわゆるガタンゴトン音がせず、どうやらロングレール化されて抜本的に対策されて、結果あの酷い揺れが解消されたようです。あらー。いや、いいことなんですけども。列車は混雑したまま、高架化された谷山駅へ。
列車は高架の上を、滑るようにして走っていきます。さすがにあれだけ問題になっていたら、そりゃ対策もされるよね。当たり前ではあるのですが、どこかでちょっと期待していたこともあり少々寂しい気分に。

坂之上駅に着くと、混み合っていた車内から大勢の若い方々が降車されていきました。どうも駅の近くに大学があるようで、みなさんここへの通学に利用していたようですね。車内は地元の方々と、指宿や枕崎方面に向かう観光客が適度に座っているような感じになり、のんびりと発車していきます。あーなんか眠くなってきたな。少し寝ようかな。列車の揺れって眠気を誘いますよね。
・・・
!?
なんか急に凄いことに。こここ、これがまさに求めていたものです。ガタンゴトンの音と同時に下から突き上げるような縦揺れが絶え間なく襲います。どうやら利用者が多かったり、状態がひどい区間から優先的に路盤改良がおこなわれているらしく、まだすべての区間で改良が完了したわけではない模様。
お隣のボックスの旅行者の方々も何事?と戸惑いのご様子です。さっきまで至って平常だったからびっくりもしますよね。しかも生半可な揺れじゃなく、ときどき誇張無しで座面からお尻が浮き上がります。これは動画に納めねば。ということで、自分が座っているボックスの向かい側の下にちょうどスマホを挟める隙間があったので、そこから撮ってみました。
これ、決してふざけたり誇張していないんです。普通に座ってるだけなんですが、あまりの揺れに腰と座席で摩擦熱が発生し、たまにお尻が浮いて座面に叩きつけられるためシンプルに痛いです(途中で腰をさすってるのはそのため)。0:20あたりで「マジやばい」と仰っているのは隣のボックスにいる方で、若いご夫婦でこの激揺れに大ウケ?されていたようです。
これはもう立派なアトラクションだネ
乗って楽しい?ところですが、見ても楽しいのが指宿枕崎線の良いところ。錦江湾に沿って海岸線を走るため、景色も最高なのです。さすが観光特急列車が走るだけありますね。

そうこうするうちに列車は指宿に到着。
ほとんどの人が下りちゃうのかな、と思いきや、意外と降りる人はおらず。それもそのはず、平日月曜日の午前11時じゃ行く人も少ないし、行く人は一本前の「指宿のたまて箱」に乗りますよね。

ちなみに指宿のたまて箱の車両も形式はいま乗っているのと同じキハ47形なのですが、さすがにこの揺れの中を特急料金を徴収して爆走するのはまずかろう、ということで、揺れに対する特殊な装置をわざわざ開発して搭載しているようです。そりゃあんな揺れの中でビールなんて開けた日には中身が全部吹き出しちゃいますよね。お弁当なんて置いたとたんにどっか行っちゃうだろうし。
列車は指宿のお隣、山川の町へゆっくりと差し掛かります。おお、これまた素晴らしい景色です。対岸に見えるのが山川の町中心部ですね。山川では地元の方と思われる利用者がほぼ全員降りられ、車内はいよいよ観光客(私含む)と乗り鉄(私含む)のみとなりました。

山川駅までが、指宿枕崎線のうち比較的利用者が多く、本数も多い区間で、最高速度も85キロとそこそこ早い区間です(とはいえ揺れる区間は70キロくらいしか出していないようでしたが)。
ここから先は屈指の閑散区間で、列車は1日6往復(+途中までの区間便が1往復)、最高速度も65キロで、たびたび存廃が話題になるような路線です。この区間の中に、有名な「JR日本最南端の駅」である西大山駅もあります。